
2025年4月からNHKで放送される『アン・シャーリー』。
原作は世界中で愛される名作『赤毛のアン』。
子供の頃に読んだ、あるいは名前だけは知っているという人がほとんどだと思います。
実は私が小説にハマったのも、子どもの頃『赤毛のアン』を読んだことがきっかけでした。
私の人生に大きな影響を与えてくれた名作ですが、大人になってから読み直すことはないままでした。
そんな時アニメ化決定のニュースを聞いて、久しぶりに読み直してみたのですが、
大人になった今だからこそ、『赤毛のアン』の魅力に改めて気づくことができました。
想像力豊かな孤児の少女が辿る成長の軌跡は、私たちの人生にも光を投げかけてくれます。
プリンス・エドワード島の美しい自然、個性豊かな登場人物たち、そして何より「明日は新しい日、まっさらな一日」と前向きに生きるアンの姿勢。
この記事では、赤毛のアンの魅力を余すところなくお伝えします!
1.『赤毛のアン』とは?作品概要
『赤毛のアン』は、カナダの作家ルーシー・モード・モンゴメリによって1908年に発表された小説です。
原題は「Anne of Green Gables」(アン・オブ・グリーンゲイブルス)。
発表から100年以上経った今でも世界中で愛され続け、40以上の言語に翻訳されています。
日本では1952年に村岡花子さんによって翻訳され、多くの人の心を捉えました。
2. 物語の舞台:プリンス・エドワード島の魅力
『赤毛のアン』の舞台となるのは、カナダ東部に位置するプリンス・エドワード島。
モンゴメリ自身が幼少期を過ごした場所であり、作品の背景として見事に描かれています。
島の赤い土と緑豊かな丘陵地帯、果てしなく続く海岸線の美しさは、アンの想像力を刺激する重要な要素となっています。
彼女が名付けた「歓喜の白路」や「輝く湖水」といった場所は、自然の美しさを独自の言葉で表現するアンの個性を象徴しています。
3. 『赤毛のアン』あらすじ
3.1 アンの到着:予想外の出会い
物語は、マシュウとマリラのクスバート兄妹が農作業の手伝いをしてくれる少年を引き取ろうとしたところから始まります。
ところが孤児院からやってきたのは、想像力豊かな11歳の赤毛の少女、アン・シャーリーでした。
最初は戸惑うクスバート兄妹でしたが、特に無口なマシュウはアンの饒舌さと想像力に心を奪われていきます。
一方マリラはアンを孤児院に帰そうとしますが、
道中アンの境遇を聞いて不憫に思い、なによりアンの人柄に惹かれたこともあって
アンを引き取る決心をします。
マリラいわく「アンの魔法にかけられた」とのこと。
アンはこれからもその個性で多くの人を魅了していくことになるのです。
3.2 グリーンゲイブルズでの新生活
グリン・ゲイブルズでの生活は、アンにとって初めての本当の「家」での暮らしでした。しかし、想像力豊かなアンは様々なトラブルを起こしてしまい、マリラを始めとするアヴォンリーの人たちを驚かしていきます。
アンは想像力豊かで自由奔放、マリラは実用的で規律を重んじる人物。この正反対の性格の二人が互いを認め、影響し合っていく過程は、私たちに「違い」を受け入れることの大切さを教えてくれます。
3.3 学校生活と友情:ダイアナとの出会い

学校生活でアンは初めての親友ダイアナ・バリーと出会います。2人は「永久に、腹心の友」になることを誓い合います。
特に印象的なのは、ダイアナをおもてなししようと、いちご水と間違えてぶどう酒を飲ませて酔わせてしまったエピソード。
このミスでダイアナとの交流を禁じられたアンの悲しみと、最終的に友情が復活する場面は、関係の危機と修復の美しい描写となっています。
ふたりの女の子は手をつないで大いそぎで、かちかちにこおった原を横ぎっていった。(中略)
ながいあいだ引きはなされていた腹心の友といっしょに、さえわたり、いてついた、美しい夜の景色のなかをかけぬけていくことは
モンゴメリ(原作)、村岡花子(訳)『赤毛のアン』、ポプラ社出版
じつにすてきだと思った。
3.4 ライバル登場:ギルバートとの確執
アンの学校生活にライバルとして登場するのがギルバート・ブライス。
彼がアンの赤い髪をひっぱり「にんじん!にんじん!」と呼んだことに腹を立て、
ギルバートの頭に石盤を打ちおろし真っ二つにするという大事件を起こしてしまいます。
ここから2人の長い確執が始まることに。
アンはギルバートの謝罪を拒否し、学業でライバル心をむき出しにします。
3.5 成長と試練:アンの5年間
アンは物語の中で様々な試練を経験します。料理の失敗、髪を緑色に染めてしまう事件、アヴォンリーを離れての通学、そして何より養父マシュウの突然の死。
特にマシュウの死は、アンにとって大きな転機となります。大学進学の夢を一時諦め、マリラを支えるために地元の学校で教師として働くという決断は、彼女の成熟を象徴しています。
私たちの人生も、思いがけない出来事の連続です。
しかし、アンはそれを「曲がり角」と前向きに捉え、自分の義務さえ友と呼び全力で向き合うことを決意します。
そしてギルバートと和解し、意地を張っていた今までの時間を取り戻す道を選ぶのです。
4. 主要登場人物紹介
4.1 アン・シャーリー:個性豊かな主人公
主人公のアン・シャーリーは、豊かな想像力と独特の言葉遣い、そして何より前向きな姿勢が特徴の11歳の孤児です。彼女の赤い髪と想像力は、彼女のアイデンティティの象徴となっています。
例えば、鏡に映る自分の姿に失望しながらも「想像力だけは褒められるわ」と自らの長所を認識できる点は、現代の「自己肯定感」の概念を先取りしていると言えるでしょう。
4.2 マシュウとマリラ:アンの養親
60代の兄妹であるマシュウとマリラは、アンの人生を大きく変える存在です。
無口で優しいマシュウと、厳格だが心優しいマリラという対照的な性格の二人が、アンの成長を見守ります。
二人とも初めは子育てに戸惑いながらも、アンの存在によって自分たち自身も成長していきます。
特にマリラは規則や体裁を重んじる人ですが、アンとの交流を通して母のようなまなざしを向ける愛情深い人へなっていきます。
4.3 ダイアナ・バリー:親友
ダイアナ・バリーはアンの初めての親友であり、「腹心の友(kindred spirit)」です。
彼女はアンほど想像力豊かではありませんが、アンの奇抜なアイデアを受け入れ、共に冒険する理解者となります。
空想家のアンと現実的なダイアナ。だからこそ逆に気が合うのかもしれませんね。
アンとダイアナの友情は、互いの違いを尊重しながら、無条件の支えと理解を提供し合う関係の理想形と言えます。
現代のSNS時代においても、このような深い友情の価値は変わりません。
4.4 ギルバート・ブライス:ライバルから友人へ
ギルバート・ブライスは当初アンのライバルとして登場しますが、やがて友人となり、さらには恋愛感情へと発展していきます。
彼の誠実さと知性は、アンの成長に大きな影響を与えます。
ギルバートがアンの赤い髪を「にんじん」と呼んだことから始まった確執が、互いの才能を認め合う関係へと発展していく過程は、人間関係の成熟を象徴しています。
5. 『赤毛のアン』の魅力:現代に通じるテーマ
『赤毛のアン』が100年以上経った今でも愛され続ける理由は、その普遍的なテーマにあります。
「自分らしさの追求」は現代の自己啓発書の中心テーマですが、アンは19世紀末の保守的な社会でも、独自の個性を大切にしていました。2023年のギャラップ調査では「自己表現の自由」が世界中の若者にとって最も重要な価値観の一つであることが示されていますが、アンの物語はこの価値観を先取りしていたと言えるでしょう。
また、「想像力の力」というテーマも、現代の創造性研究と共鳴します。アメリカの創造性研究者ケン・ロビンソン博士は「想像力は困難を乗り越え、新しい可能性を見出す力になる」と説いていますが、アンの物語はまさにその実例を提供しています。
「家族の絆」についても、血縁に限定されない多様な家族形態が認められる現代社会において、クスバート兄妹とアンが形作る非伝統的な家族の姿は、大きな示唆を与えてくれます。
6. まとめ:なぜ100年以上愛され続けるのか
『赤毛のアン』が世代を超えて愛され続ける理由は、その普遍的な人間ドラマと、読む人の年齢や経験によって異なる味わいを提供する多層性にあります。
私自身、子供の頃は「面白い女の子の物語」として読んでいた『赤毛のアン』を、大人になって再読したとき、その深い人生哲学に驚かされました。特に「明日は新しい日」という考え方は、仕事や人間関係で挫折を経験する大人にこそ、心に響く言葉なのかもしれません。
『赤毛のアン』は単なるノスタルジーではなく、現代を生きる私たちに、想像力、レジリエンス、そして本物の人間関係の大切さを教えてくれる、まさに大人になった今こそ、読むべき物語だと思いました!